人には言えない小説

どろどろの色欲にまみれつつ、どこまで平然とした顔が出来るか見ものですね。
ジキルとハイドが如く、その微妙なバランスを保つことって美しくないですか?

#5

「んっ・・。」

閉まるドアの音を聞きながら、私は吐息を漏らした。


相手がゆっくりそばにきて、優しく私の体を抱き寄せたからだ。


まだキスもされてないのに。


しかし、相手の精悍な体は力強く、それでいて優しく私の体をゆっくりと抱きしめる。

腰から下を相手の両手が這う。


私の全身を愛撫するように、優しくいやらしく。


「柔らかくて気持ちいいよ。」

「はっ・・・あぅ・・・・」


恋人といても乾いたままの、私の体の奥の何かが熱くとけ出すのがわかった。


強引な人ではないので、すべての動きが優しくゆっくり進む。

しかし、それが余計私を焦らしていやらしささえ感じてくるのだ。


しかし、その視線は私をつかんで離さない。

体の動きとは裏腹の、相手の冷静すぎる表情に戸惑いながらも、私の顔はますます赤くなり、体は相手を求め始めてた。


「またそんなに赤くなっちゃって。椿は可愛いね。」

「っ・・・。」


唐突にそんなこと言われたら、なんと言えばいいかわからなくなってしまう。

私は何も言えず、下を向いた。

こんなに物が話せなくなる人ではないはずなのに・・・。


私を抱きしめていた両手がふと離れる。


えっ、何?どうしたの?


そう思って相手を見上げようとしたら、先に顎を引き上げられた。


「恥ずかしがってる顔・・。もっと見せなよ。」

「いっ、いやっ・・。」


私絶対今ひどい顔してるっっ

絶対ダメ、目合わせられない


逃れようにも顎を引き上げられているので、うまく顔を背けることができない。


さっきまで無表情だった顔が、私の顔を見つめながらかすかに表情を緩めた。

彼にとって、この顔が笑ってる顔なのだろう。

私はつい、相手の笑顔に釘付けになってしまった。


そして、唇に柔らかい感触を感じた。

触れるか触れないかの感触から、押し付けるように強くされたり。

私の唇の感覚を楽しんでいるのだろうか。


そのうちだんだんまた硬い体が私を強く抱きしめ始めた。


「んっ・・。はぁっんん・・・。」

激しいキスの間に漏れる息が熱い。


キスをしながら相手の左手が私のブラウスのボタンを外した。

そして、両手で肩があらわになるまで引き下げる。


白い肌は蛍光灯の下で、少し赤みを帯びていた。

相手はそのまま私の乳房を両手で掴み、もてあそぶ。


「ふあっ・・ぁぁあん・・・。」

「いやらしい。」


「いっ・・いあぁ。」

「柔らかくて、すべすべだね。マシュマロみたいだ。」


「はっあ・・、恥かしいっ」

「あれ?でも、ここは硬いね。どうしてかなぁ?」


唇をその硬くなった部分に押し付けてくる。

柔らかい唇の感触に、ビクビクっと腰が震えた。


唇をすぼめて先をもてあそんでくる。


「あっあっあああっ・・。」


少しザラザラした舌が私の胸の上を這い始めた。

わざと音を当てて、ジュルジュルと吸い上げてくる。


「はあああっ・・・。ああっう・・。」


いつの間にか私の恥部からは、トロトロと溢れていた。

それに気づいた相手は、そこへ手を伸ばす。


最初は周りを優しくなじっていた指が、入り口を見つけ一気に奥へ差し込んだ。

私の体液でドロドロになっている場所は、相手の長い指を簡単に飲み込んでしまう。


「はあああああアッッッッ」


私は一層高い声を上げる。


体の奥で長くて太い男の指が、動いている。


それだけで、もうイキそうになってしまうのだ。


ぐちょぐちょといやらしい音が響いて、恥ずかしさでいっぱいになる。


「もう良さそうだね。ほら、こっちも準備出来てるでしょ。」


相手のものを顔の前に持ってこられて、自分の口からよだれが出てくるのがわかった。

こんなこと今までなかったのに。


相手の匂いが余計強くて、頭がクラクラする。かすかな匂いなのに、いやらしい。

これが、体液の匂いというのだろうか。


まずは舌先で、濡らすようになめあげる。相手のは大きいので、なかなかすぐすべてを口に入れることはできない。


そんな私を愛おしそうに見つめる相手。

私も舐めながら、上目遣いで相手を見上げる。


その間も相手の両手は、私の胸を揉みあげたり、揺らしたりして。

相手は、私の体を本当に気に入ってくれているようだった。


私はその快感に負けないように堪えながら、ゆっくり口に含みながら口を動かした。


「つっ、椿もういいよ・・・。もう十分椿のこと喜ばせてあげられそう。」


あんなに大きくなって・・・。


そんな余計なことすら考えながらも、もう私の表情は欲しくてたまらない顔をしているのだろう。相手は私を見て、また表情を緩めた。


この時はいつも、最高に自分を恥ずかしく感じる。


こんなにも自分が、相手のものを求めているのだと、わからさせる時間なのだ。


「自分で足持って、広げてごらん。」

「んっ・・・。」


私は、自分自身で自分の一番恥ずかしい場所を、広げて待つ。


ゆっくりと相手のものが入ってくるのがわかった。

指とは比べものにならない太さの肉棒が、私の部分を傷つけないように優しく。


「はぁあああああああっうっ」

「そんな、締めないで、椿、ほら。」


私の頭を撫でながら、少しずつ奥へ進める相手の優しさに、ますます体は感じてしまう。

相手も自分のものが大きいことをわかっているのだろう、私が痛くないようにゆっくり動いてくれる。


でも自分の愛液で、相手のものが馴染んできた私は、物足りなさを感じてしまう。


「ふっふあぁ・・、もっもっと・・もっと欲しいぃ」

「ほぐれてきたね。いいよ、おかしくしてあげる。」


そして相手は、ぐっと奥へ突き上げてきた。


「んあぁっっああっっっ、はぁっはぁっ」


私の弱いところをこすり上げながら、何度もなんども突き上げてくる。


「ひぁああっ、ひもちいいっっ、はっはああんっっっ」


ぞくぞくと奥からより強い快感が溢れてくるのがわかった。


「ひぁっっああっ、くるっくるっ、なんかきちゃうっっ」

「イってごらん?イキ顔見せて・・」


こんなすぐにイっちゃうなんて。

はしたない顔を見せたくない、でもでも、すごく気持ちいいの。


「いやっいやっ・・。ああああああ、だめ、イっちゃううううっっ・・」


果てた後も激しく突かれ続け、もう何が何だかわからず快感に身を任せた。

その間に何度イってしまったのだろう。


初めてした時には、脳裏をよぎった恋人はもう二度と現れなかった。

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