人には言えない小説

どろどろの色欲にまみれつつ、どこまで平然とした顔が出来るか見ものですね。
ジキルとハイドが如く、その微妙なバランスを保つことって美しくないですか?

#11

「はぁ・・・」
私一人の早朝の仕事場。聞こえてくるのはやっぱり私のため息だけ。


当たり前と言えば当たり前なんだけど、
それ以外の音が聞こえることを期待してもいないけど。


昨夜のふざけたうどん野郎は、ちゃんと仕事場に着いただろうか。
途中の電車で眠りこけて、乗り過ごしてないかと少し心配になった。

LINEしようかと思った時、スマホに今週のスケジュールの通知が来た。


「あぁ・・・」
くそっ・・ということばは、喉まで出かかって飲み込んだ。


今週末は資格試験だったのだ。
今年こそはとろうと思って、資格勉強をしていたのももう数け月前のこと。


結局は仕事に忙殺された挙句、ストレス相まって、
こんなだらしない日々を送っている。


希望の連休もとうに過ぎ、残された時間はあと一週間もなかった。


一通り試験勉強はできているから、あとは弱点を潰すだけだと自分に言い聞かせ、
仕事の合間に何ができるか考える。



ピロリーン♪


今度は何だと思ってら、彼氏からLINEが来ていた。
そういえば、昨日の夜は、お休みのメッセージもしてなかった・・・。
私としたことが、しまったな・・・。


『椿、おはよー!』
『昨日は帰ってすぐ寝ちゃったのかな?』
『今日も1日頑張ろう〜💗』


本当はこの人が一番愛しいはずなのに、なぜ他の男とばかりあっているんだろう。



あぁ、そうか、私も彼も会う暇がないくらい、今は忙しい時期だった・・・。



でも本当に?



私は忙しいストレスを他の人で紛らわせて、
彼は他の友達とワイワイ過ごして楽しんでいる。


忙しい、忙しいって口癖になって、
気付いたらもう一ヶ月もLINEばかりの関係だった。



でも・・・。
会ったとしても、私は満たされるのだろうか。
彼は満足するのだろうか・・・。


久しぶりに会っても楽しめない関係なんて、
私はこの人に恋していると言えるのか・・・。



ピロリーン♪



今日の会議の資料が送られてきて目がさめる。



あぁ、もう。



また時間を無駄にしてしまった・・・。

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