人には言えない小説

どろどろの色欲にまみれつつ、どこまで平然とした顔が出来るか見ものですね。
ジキルとハイドが如く、その微妙なバランスを保つことって美しくないですか?

#7

桜はすでに散ってしまっているにもかかわらず、上野にはまだ人が大勢いた。


朝、悩んだ挙句、薄いピンクのフレアスカートに白のパンプスにした。
相手のタイプがわからないから万人ウケのコーデ。
服装がシンプルな分、ピアスはパールの大きめのものをつけた。


帰りに同僚に、今日はなんかオシャレだねと言われ、どきっしたのを思い出す。


「今日は大学時代の友達に会うの。」


ニコッとして控えめに言ったのだった。


私は自然に話せていただろうか・・・。



待ち合わせ場所に行くと相手はまだ来ていなかった。


しばらく待つとニットを着た同い歳くらいの男性が来た。

そして彼が近くまで来たところでハイヒールできたことを後悔する。


「俺より、背高いんじゃね?」


そう言われてまたどきっとする。


「ん?同じくらいじゃない?」


写真より小柄に見える、相手は「ふーん」という顔をした。

顔も写真で見たよりもカッコ良くはなかったし、なんだか冷たい印象だった。


来たことを少し後悔する。

なかなかタイプの人っていないものね、と。


相手はさほど気にしてない様子で


「飯先にする?もうホテル行く?」


などとサラッと聞いてくる。


「どちらでも・・。もしお腹空いてたら、ご飯先でもいいですよ。」


「じゃあ遅くなっちゃうし、ホテル行こうか」


黙ってコクリとうなづいた。


近くにあるホテル街は、

そこにいる男女ペアは全てホテルに入るんじゃないかと思わせた。


この人たちの何割が真剣に付き合ってここにきてるのだろう

口数の少ない相手についていきながらそんなことを考える


「ここにしよっか」


値段が高いわけではないが小綺麗な建物に、私たちは入った


部屋に入ると、キスもしないまま、私の体を触ってくる相手に戸惑った


しかし、ぬくもりを求める私の体は、そんな触られ方でも感じてしまう


「ふぁ・・・んぁぁあっ」


後ろから胸を乱暴にもまれながら、声が出た


振り向こうとすると腕を後ろに持って行かれ

タオルできつく縛られた


ベッドに倒され身動きができない私を、相手は黙って見下ろした

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