人には言えない小説

どろどろの色欲にまみれつつ、どこまで平然とした顔が出来るか見ものですね。
ジキルとハイドが如く、その微妙なバランスを保つことって美しくないですか?

#8


雨の日の祝日


雨の音で起きたらもう昼近くだった


週末からずっと別の男に出会い、気づけば一人で目覚めたのは随分久しぶりだった。

連休の最後の日を、結局私はこんな形で終えていく。


さして空腹感があるわけでもないのに、冷蔵庫を開けた。

2日酔いで頭がガンガンするため、水が欲しかった。


水くらいしか入ってない冷蔵庫をしめ、意味もなくテレビをつける。

見るわけでもないテレビをつけた後は、これも使うわけでもないのにPCを開いた。


メールの受信を見ても、仕事のメールだけ。

SNSにはたくさんのメッセージが送られてきているが、私は何を返すわけでもない。


あるのは寂しさだけ。


テレビを見ても、PCを触ってても、SNSのメッセージを返しても紛らわせないこの寂しさは何なのか、自分でもわからなかった。


それどころか、心も体も満たされているはずなのに。


あれだけ気持ちのままに、笑い、騒ぎ、体もなんども重ねたのに。


満たされず私の中は、やはり空っぽのまま目覚めるのだった。


袋に残った食べかけのポテチを、特に食べたくもないのに、食べる私は現代人そのものねと思った。


テレビの音もろくに耳には入らない。


口が寂しいから食べ物を口に入れてる。


私にとって体の関係も、そんなものになってしまったみたいだ。


最初のようなドキドキした、甘酸っぱい想いもすぐに消えてしまう。


食べかけのポテチでも何でも、何か口に入っていても同じと思えてしまう今。


昨日まで私が会った男性たちもまた、少し気に入ったら、最初だけ美味しいだけの人たちで、もう会う気にはなれなかった。



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